2008年07月01日

第7回:ビデオはイノベーションの種になる? − 「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を読んで

前回といってもかなり前になってしまうが、仮想世界とユーザーインタフェースについて思っていることを書いた。今回は第7章の「Videos(ビデオ)−映画やTVの行く末は」について書いてみようと思います。

ネットワークやコンピュータリソースを無限に使えるのであれば、映像でコミュニケーションするのは自然なこと。ネットでさまざまな映像を扱うサービスが立ち上がるのはある意味必然なのかもしれない。説明するまでもなく、テレビ局や映像コンテンツホルダーは、YouTubeなど映像投稿・配信サービスを無視することはできなくなってきた。映像配信チャネルという意味だけではなく、マーケティングにも利用しはじめている。NHKでさえYouTubeにチャンネル持って映像を配信している。



ただし、YouTubeは破壊的トレンドなのかと言われると、それほどインパクトはないように感じる。これまでの技術の延長であるし、何を破壊するのか分からない。もちろん、ビデオカメラが安価で手に入るようになり、パソコンで映像編集するのも安価で行える。だとしても、テレビ局が制作するような映像コンテンツとユーザーが制作した映像コンテンツを対等に扱っていいのか疑問に思う。やはり、プロが制作したものは"よいコンテンツ"である可能性は高い。もちろん可能性だけの話であって、プロ顔負けの映像を作り出すアマチュアもいるもの事実ではある。

映像を見るには、当然だが時間が必要である。10分の映像コンテンツであれば、見るのに10分程度かかってしまう。文章であればある程度斜め読みや速読ができなくはないが、映像だとそれが難しい。忙しい現代人が、面白いコンテンツを求めてYouTubeをさまよう時間的余裕なんてあるのだろうか。それよりも、テレビ局などが制作したコンテンツを視聴するほうが満足度も高くなるのではないかと思う。個人的な意見ではあるけれど。

映像に関して破壊的トレンドだと思うのは、ビデオ編集サービスをWebサービスと使えるようになってきたこと。巨大なデータを扱うので、ネット経由でビデオ編集なんて難しいかなと思っていたが、すでにいくつかのサービス(EyespotやJumpcutなど)が立ち上がっている。プロでなくても趣味で映像コンテンツを制作する人はたくさんいる。その人たちが何を作り出すのかは楽しみだけど、視聴者に的確に届けるには、なんらかのレコメンデーション機能が必要だと思う。先ほども書いたが、面白いと思う映像を探し出すのはとても手間だから。

以下、第7章で取り上げられたWebサイトのリンクです。ご参考まで。





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2008年06月30日

さようならビル・ゲイツ、さようならパソコン、ようこそWebサービス

とうとう米Microsoft社を創業したビル・ゲイツ氏が引退した。年齢的なタイミングもあるのだろうが、偶然にもパソコン時代の終焉とともに引退する格好になった。マイクロソフトが築いたものは“パソコンの時代”である。コンピュータを言葉通り“パーソナル”なものにした。もちろんビル・ゲイツだけがパソコンを作ったわけではないので、彼だけの功績ではないのだけれど。

ビル・ゲイツ前のコンピュータというのは、まったくパーソナルではなかった。IBMが汎用コンピュータとして発表した「System 360」は、どんな用途(弾道計算だけでなく)でも使えるコンピュータだった。360度対応しているということで「360」の型番が付けられた。“汎用コンピュータ”といっても今でいう“レガシーシステム”のことであり、用途が軍事以外にもビジネス用途にも使えると意味だった。もちろん、個人が使えるしろものではない。

ビル・ゲイツ以降、またインテルが高性能なCPUを安価で提供できたことで、コンピュータが個人の手に届くようになった。“パソコンの時代”の到来である。マイクロソフトはIBMに開発言語「BASIC」を提供した。開発言語といっても、当時のパソコンにとってはOSみたいなものだ。当時はソフトを買って使うというより、個人がソフトを開発してパソコンを動かしていた。ソフトの開発にBASICを使っていたわけだ。古いパソコンユーザーであれば、BASICでプログラムを書いた経験がある人もいるのではないだろうか。「ベーシックマガジン」(通称:ベーマガ)という雑誌もあったけ。

BASICはIBMのパソコンに搭載され、マイクロソフトのBASICはまたたくまに全世界に広まった。まだIBMが強大な力を持っていた時代であったが、マイクロソフトがコンピュータ業界においてこれから重要な会社になるだろうと少なくない人が予感した時代である。そして、Windowsの登場とともに、マクロソフトはコンピュータ業界の盟主の階段を駆け上っていく。

当時は、永遠に続くと思ったマイクロソフトとWindowsの時代、やはりというか当然と言うか、新しいイノベーションが起こったため、パソコンの時代もついに終わりが見えてきた。そのイノベーションとは、インターネットである。

マイクロソフトが苦悩しはじめたのはインターネットの登場である。当時のマイクロソフト(Windows 95登場前)はインターネットの将来性に疑問を感じていた。それが経営判断の誤りを引き起こし、Windowsをインターネット対応にするのに苦労した。もしかすると、現在のインターネット中心型のコンピューティング環境が実現したのは、この判断ミスだったのかもしれない。もし、マイクロソフトがインターネットの将来についてもっと重要視していたら、Yahoo!やGoogleは登場しなかったかもしれない。歴史を変えた判断として今後も語られるかもしれない。

インターネットが生活の一部にまで入り込むことが必然であるとするならば、遅かれ早かれヤフー!やグーグルは登場したに違いない。Webサービスの時代がやってきたのは、たまたまビル・ゲイツが引退する時期と重なっただけかもしれない。

さて、Webサービスの時代も永遠ではないと考えるのが歴史から見ても当然と考えていい。Webサービスの時代が終わるのは、FacebookやGoogleの創業者が引退するときなのだろうか。とすると、また30年後くらいになりそうだ。IT業界では、若き創業者が1つのイノベーションを引き起こし、引退とともに次の世代にとって代わるのが繰り替えされるかもしれない。未来は私たちに何を見せてくれるのだろうか。楽しみである。

posted by やすお at 09:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年06月27日

今どき親指シフトキーボードと言わないで。ユーザーインタフェースとユーザーフォローは大切なんよ

親指シフトキーボードのパソコンがシステム青山が発売する。富士通の「FMV-LIFEBOOK S8360シリーズ」に、親指シフトキーボードを搭載したノートパソコンだ。

親指シフトキーボードって何?と言う人は多いだろう。富士通のワープロ専用機種の「OASYS」シリーズで採用されていたキーボードで、現在のパソコンで一般的なキーボードとはまったく配列が異なる。日本語を入力に特化したキーボードだ。少ないキーの数でひらがなを効率よく入力できるよう、1つのキーには複数のひらがなが設定されている。親指でシフトキーを押すことで、入力しいたい文字を選択する。

まだパソコンが一般的になる前は、ワープロ専用機が文書作成のメインツールだった。その中でも富士通のOASYSシリーズは人気があった。多くの人が親指シフトキーボードで入力をしていたわけだ。

ここで大切なのは、慣れた入力方法は変えられないこと。人の癖がなかなか直らないのと一緒で、使い慣れたものは手放しにくい。親指シフトキーボードも同じだ。なので、需要はそれほど大きくはない(と思われる)親指シフトキーボードの機種が今でも発売されるのである。

Webサービスではどうだろうか。これも同じではないだろうか。極端にユーザーインタフェースを変えてしまうとユーザーは混乱し、結果的に利用者数が減ってしまう。かといって、何も変えないでいてもユーザーは離れてしまう。そのさじ加減が難しい。ユーザーインタフェースはサービスのコンセプトと密接につながっている。最初に決めたものを簡単に変えてしまうようでは、サービス自体のコンセプトがふらついていると捉えられかねない。

親指シフトキーボードというキーワードを見つけて、ずいぶん昔に流行ったものでもなんだかんだで生き残っていることにノスタルジーと恐怖を感じた。

新しいものを作るのは比較的簡単なのだが、それを定着させ、さらにサービスの終わりまで面倒を見るのは大変な苦労だ。どうしても、企画から開発、サービスインまでが重要視されていて、それ以降の運用フェーズに力を入れるところが少ないように思う。だからなんだというわけではないが、サービスを立ち上げるときは、クローズまでの運用を含めた戦略が必要なのかなと感じた。

ちなみに、親指シフトキーボードのパソコンの型番は「FMVNS7B4S(FMV-S8360/S)」。同社が運営する富士通専門店「アクセス」で販売し、価格は22万9800円だ。

posted by やすお at 06:13 | Comment(0) | TrackBack(1) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年06月25日

「第6回:仮想世界とユーザーインタフェース − 「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を読んで」の続き(記載Webサイト一覧)

前回「第6回:仮想世界とユーザーインタフェース − 「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を読んで」で書籍で紹介されていたWebサイトを記載していなかったので、ここで紹介します。


●第6章 バーチャル&リアルで紹介されたWebサイト

●第8章 インターフェイスで紹介されたWebサイト


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2008年06月23日

そりゃマイクロソフトのWebサービスだって終わるやつはあるよ

Webサービスを始めるのは意外と簡単(かもしれない)が、それを終わらすとなるとそれなりの力がいる(ような気がする)。

ReadWriteWebでは、終焉を迎えるマイクロソフトのサービスを紹介している。元記事は「Too Many Windows Live Services are Dead」。

まあしょうがないかなと思えるサービスなのだが、1つ気になるサービスもある。「Live Search Books and Live Search Academics」は、グーグルに対しては敗北宣言になりはせんかなと。グーグルはデジタル化された情報しか検索できないので、図書館などにある紙の本をスキャンしてどんどんデジタル化している。この分野はグーグルに任せてしまおうというマイクロソフトの戦略なのだろうか。

そういえば、マイクロソフトってデジタル美術館みたいなものを構築するって、グーグルが生まれる前から言ってたけど、それの進捗具合はどうなのかな。もしかして、ひっそりと終わったのだろうか。世界の美術品がパソコンで見られるというのは楽しそうなので期待していたのだけど。

posted by やすお at 15:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年06月20日

Yahoo!、Facebook、delicious(これもYahoo!)の幹部、入れ替わりが激しくなっている

これはWebサービス全体の再編が始まる予兆かもしれない。結局、ビジネスは人が創る。人が異動すれば会社は変わる。不確定なのは、どのように変わってしまうかだ。

マイクロソフトに買収されかけた米Yahoo!は、人材流出が止まらない。これは通常であれば、「なんかヤバイことがYahoo!の中で起こっている」と勘ぐられてもしょうがない事態である。しかも、Yahoo!傘下にあるソーシャルブックマークサービス大手のdeliciousの創設者までYahoo!を飛び出してしまう。辞める理由は「Yahoo!内でdeliciousの開発を止められているから」らしい。もしこれが事実であれば深刻である。もうYahoo!には新しいサービスを開発する気力がなくなっているのだろうか。Webサービスを提供している企業で、開発が止まるというのは、企業存続において致命傷になる可能性がある。Yahoo!はどうなるのだろうか。

一方、元気なFacebookも幹部社員が相次いで辞任している。外からは元気に見えるFacebookも中では何かきな臭いことが起こっているのだろうか。最近元気がないGoogle社員がFacebookに転職している動きも面白いが、Facebook立ち上げの功労者を逃がしてしまってはどうしようもない。

米国の、しかもインターネット企業の人材がいろんな会社を渡り歩くのはめずらしい話ではない。しかし、Yahoo!とかFacebookにからむと、このご時勢ではとたんにニュースになってしまう。しかしいったい何が起こっているのだろうか。


◎参考記事


posted by やすお at 17:36 | Comment(0) | TrackBack(1) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年06月19日

Firefox3がギネスワールドレコーズに載るかも

Webブラウザの「Firefox3」をダウンロードし、インストールしてみました。この"ダウンロード"したのが今回に関しては意味があります。ご存知の方も多いと思いますが、Firefoxは「24時間以内でもっともダウンロードされたソフト」として世界記録に挑戦していました。

Firefox Download Day 2008」キャンペーンが功を奏したようで、800万ダウンロード超を記録したようです。ただいまギネスの審査員による認定作業中のこと。これが認定されれば正式にギネスワールドレコーズに世界記録として登録されます。本にも載るかな。参加した1人としては楽しみです。

なんとなくFirefoxコミュニティの存在を感じます。こういう取り組みはWeb2.0的でいいかもしれません。正直なところ、楽しかったです。主催者側としてはサーバーの準備などとんでもないことをやっちゃったかなと思っているかもしれませんけど。

お疲れさまでした。

posted by やすお at 05:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年06月18日

もうソフトウエアで儲ける時代は終わったかもしれない

オープンソースに力を入れるIBMであるが、これまで有償で販売していたデータベースソフト「DB2」をオープンソースで提供するかもしれない。今すぐにオープンソース化するわけではないが、すでに簡易版DB2は無償で提供している状況から考えると、次のステップとしてオープンソース化は十分に考えられる。

商用ソフトが無償もしくはオープンソースとして提供される話はDB2に始まった話ではない。なので、驚くことではないのだが、オープンソース化の流れを見ると、もうソフトウエア単体で商売するのは難しい局面にきているのだなと感じる。

では、IT関連企業は何で儲けていくのだろうか。日本では受託開発という分野がまだまだ主流。今後も企業向けシステムは企業ごとに独自ソフトを開発していくことだろう。受託開発の規模が大きくなるかどうかは別として、この分野はお金を取れる。ただ、受託開発の場合、発生するお金はソフトウエアへの対価というより、開発する人への対価のようなものなので、これを有償ソフトウエアと呼んでいいのか疑問ではある。

もう1つは、提供するものをソフトウエアからサービスへと転換し、サービスで儲ける仕組みが考えられる。いわゆるSaaS(Software as a Service)である。salesforce.comなどは営業支援システムをSaaSで提供しており、業績が伸びている企業でもある。IBMがDB2をオープンソースにするのもサービスをより提供しやすくする環境を整えるという意図があるのだろう。「データを格納するプラットフォームは無償で提供するので、データを分析するためのBI(Business Intelligence)システムを導入しましょう」という提案がしやすくなるわけだ。ミドルウエアのDB2を導入させてしまえば、それをベースにアプリケーション開発するので、将来的に他のデータベースソフトに変更しにくくなる。まあ、そこまで狙っているかどうかは分からないが。

さて、ソフトウエアは歴史的に不毛な扱いを受けてきた。メインフレーム(現在はレガシーシステムと呼ばれる)全盛の時代は「ソフトはハードを売るためのおまけ」と言われ、ソフトウエアはハードウエアに比べて価値は低かった。

現在は、「ソフトはサービスを売るためのおまけ」になろうとしているのかもしれない。創考えると、ソフトウエアが単体で価値を生み出している期間はそんなに長くない。そういえば、マイクロソフト全盛の時代と重なっているような気がする。マイクロソフトはソフトウエアの地位を上げた功労者かもしれない。

現在はマイクロソフトに代わってグーグルやヤフーなどインターネットサービス企業が元気な時代である。もしかすると、「サービスは広告を売るためのおまけ」といわれる時代が来るかもしれない。グーグルやヤフーはメールサービスなどを無償で提供している。言うまでもなく、広告を売るためにエンドユーザーには無償で使わせているのだ。「サービスは広告を売るためのおまけ」になる時代はもう来ているのかもしれない。

posted by やすお at 04:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年06月13日

第6回:仮想世界とユーザーインタフェース − 「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を読んで

前回の「第5回:現在はWeb中心ですが、将来は分かりませんよ − 「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を読んで」ではコンピュータの歴史の中でWebベースコンピューティングがどのような位置づけなのかを解説しました。今回はもっと未来を見ていきましょう。第6章の「Virtual and Real」と1つ飛んで第8章の「Interface」について考えていることを書いて見ます。

第6章ではセカンドライフのような仮想世界について言いたいことを書いて見ます。のっけから申し訳ありませんが、私はセカンドライフのような3次元仮想世界は当分の間、受け入れられないと思います。それは、3次元空間が面倒だからです。アバターをわざわざ動かさなくてもコミュニケーションはできます。不便さを乗り越えてまで使う気にはなりません。

一方、企業ではセカンドライフ内でイベントを開催し、人を集めようとしています。広告・宣伝をするのがセカンドライフ内での目的ですが、目的を達せた企業は何社くらいあるのか疑問です。

さて、この3次元仮想空間ですが、今は受け入れられないと申しましたが、ずっとだめなわけではありません。面倒くささがなくなれば普及することでしょう。面倒なのは、現在のパソコンのインタフェースだけでは、3次元空間内の任意の地点をポインティングすることだって難しいことです。それを解決する、つまりユーザーインタフェースの向上が見込めるのであれば、セカンドライフは普及していくでしょう。

そんな夢のようなポインティングデバイスってあるのでしょうか。実はその答えが、第8章の「Interface」に書かれているのではないかと思います。例えば、任天堂のWiiに付属するWiiリモコンは、加速度センサーを備え、傾きや動きを検知します。Wiiリモコン1つでテニスをしたりカーレースをしたり、直感的な操作ですべて可能です。これくらい簡単に使えるデバイスであれば、3次元仮想世界に行ってみようかと思わせることができるかもしれません。

次世代のソーシャルネットワークが3次元仮想世界になるのであれば、それに対応したハードウエアを生み出すイノベーションが必要になってきます。Web2.0と呼ばれる時代に突入してからはソフトウエアが物事の中心になりましたが、Web3.0はハードウエアの時代になる可能性があります。

いつものリンク集は次回のエントリに記載します。



posted by やすお at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(2) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年06月12日

マイクロソフトは企業内SNSを目指す

Facebookに出資する目的はこれだったかと思わせるような記事を見つけた。COMPUTE RWORLDの「マイクロソフト、SharePointと連携する企業向けSNSを開発中」である。マイクロソフトのコラボレーションサーバー「SharePoint」をSNS化するプロジェクト「TownSquare」が動いており、Microsoftの従業員8000人がすでにテストで使っているらしい。

SharePointはもともと社内での情報整理に使われていたシステムだ。文書の共有やワークフロー管理、社内文書検索が得意なサーバーソフトだ。マイクロソフトはより社内でコラボレーションができるような環境を目指すのであろう。そのためにはSharePointにはソーシャルネットワーク機能が必要になる。Facebookに出資するのは広告のためではなくて、「TownSquare」は企業内SNS市場を活性化する意味もあるのだろう。

マイクロソフトにとって、企業向け製品の分野は得意とするところなので、ビジネスのやり方がうまい。派手に打ち上げ花火を上げることなく、着々と機能強化を図っている。

このエントリ「Yahoo!を買わなかったMicrosoft、次の一手はすでに打っている」でも触れたが、エンタープライズサーチの分野では、マイクロソフトは世界的に注目を浴びている検索エンジンプラットフォームベンダーのノルウェーFAST社の買収をしている。ソーシャルネットワークサービス(SNS)における検索技術の貢献度は大きい。技術力に定評があるFASTを手中に収めたことで、SharePointの検索はもっと幅広いものになるだろう。

ソーシャルネットワークの部分はFacebookを買収するまでには至ってないものの、マイクロソフトからみたら出資先でもある。なんだかんだ言いつつ、Facebookの技術をSharePointに取り入れることは政治的/技術的に可能だろう。

こっそりと言うか、地道にと表現するかはどうでもいい。マイクロソフトは着々と次世代の企業情報システムの構築に向けて動き出している。ここでいう次世代の情報システムとは、検索とソーシャルネットワークが融合したシステムだ。仕事に必要なドキュメントを検索で探す、プロジェクトメンバーのスケジュール管理や適切なメンバーに共有ドキュメントを配布する、といったことが円滑にできる世界を目指す。

マイクロソフトはコンシューマ向けのサービスでは出遅れた。だが、次世代の企業情報システムで勝ちに行く姿勢が見え隠れしている。帝国の逆襲の日は近い。

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2008年06月11日

第5回:現在はWeb中心ですが、将来は分かりませんよ − 「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を読んで

前回は「Presence」(プレゼンス)というキーワードで、リアルタイムのようで微妙にリアルタイムではない。だけど、ソーシャルネットワークでつながっている人の状態を把握したい。そんな欲求はネットでこそ実現できるという話をしました。今回は第5章の「web-oriented」(ウェブ・オリエンテッド)について書いてみようと思います。

この章については、私個人の意見が強く出てしまうことを最初にお断りしておきます。

本を読む限り、筆者は、インターネットの登場と第2章の「FREE」で述べているような、ハードウエアが限りなくフリーに近くなることで、手元のパソコンで処理していたようなことを「あちら側」(ネットワーク側)でできるようになると述べています。正確には"すべて"あちら側に移行できるわけではないが、"ほぼ"移行できるといったニュアンスです。これは、インターネットで何が起こっているのかを解説したベストセラー「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」(梅田望夫 著)での主張と似ています。

私も基本的には同じ考えです。ただし、ほとんどのことをWebベースのツールでまかなうという時代はそれほど長く続かないと私は思っています。それは、コンピュータ(情報処理システム)の歴史を顧みるとなんとなく分かってきます。

コンピュータの始まり、ここでは一般の企業に導入された時期から考えましょう。昔はコンピュータといえば汎用コンピュータという大型コンピュータのことを指していました。今で言うレガシーシステムのことです。当時は、この大型コンピュータ(ホストコンピュータとかメインフレームと呼ばれる)を複数の人が同時に利用していました。1台の大型コンピュータに何台もの端末(パソコンではない)をネットワークで接続した構成でした。エンドユーザーが操作する端末はパソコンではありません。ホストコンピュータから送られてくる情報をそのまま表示するだけのダム端末です。ホストがあってそれにぶらさがる端末があるシステムでした。IBMがIT業界を牛耳っていた時代です。

その後、インテル−マイクロソフト連合(ウィンテル)によるパソコンの時代を迎えます。この時代は、パソコンの処理能力が高くなり、ホストコンピュータの情報だけを表示するのにパソコンを使うのはもったいないことでした。なので、パソコンで処理できるものはパソコンで、ホストコンピュータ(サーバー)で処理しなければならないものはホストで処理するという分散システムになりました。クライアント・サーバー・システム時代の到来です。

このクライアント・サーバー・システムはメインフレームと比べて低コストで構築できました。この構成でどんどんどんどん企業にコンピュータが導入されていきました。ただし、クライアント・サーバー・システムには弱点がありました。パソコンには業務システムをインストールしていたので、アプリケーションをバージョンアップするごとに、パソコンの台数分だけアプリケーションを配布しなければなりません。その手間が企業にとっては大きくのしかかってきました。

この弱点を解決する決定打はあまりありませんでした。で、そうこうしているうちにインターネットが民間に解放されました。Web時代の到来です。

Webの時代に入ると、情報システム担当者は、Webブラウザが業務システムに活用できることを知りました。Webブラウザだけあれば、サーバーに置いてある業務システムを常に最新のバージョンで動かせるので、情報システム部門ではTCO削減に成功しました。これが現在の情報システムの利用形態です。

さて、このシステム形態、IBMが強大な力を持っていたメインフレームの時代に似ていませんか? コンピュータ本体は大きなものが中央にあり、エンドユーザーのパソコンに表示する情報(HTML)を生成して、パソコンに送っている。エンドユーザーのパソコンは、ホストコンピュータから送られてくるデータをWebブラウザで処理するだけ。ダム端末がWebブラウザに変わっただけともいえます。

ダム端末がパソコンに移行したように、パソコンでWebブラウザだけを動かすのはもったいないと考える時代がくるでしょう。web-orientedの次にくるのは、パソコンで動かすソフトの復活です。ただし、以前のクライアント・サーバー・システムの欠点を修正したものでなくてはなりません。それは、各パソコンにインストールするアプリケーションソフトの配布方法です。システム管理者がいちいち配下のパソコン1台1台にアプリケーションをインストールせずに、例えば自動配布の仕組みなどが必要になるでしょう。

技術的には、Windows Updateのように自動更新の仕組みなどを使えば大丈夫かなと思います。また、業務システムとインターネットを切り離すことはできないので、ネットをつなげない環境でどうするのかを考えなければなりません。ただこれも、グーグルの「Gears」など、オフラインでもWebベースのサービスを利用できるような仕組みがあるので、将来はそれを発展させたものが必須となるのだろう。

とにかく、Webブラウザだけで完結する時代はいずれなくなると思います。まだまだITは熟成されたものではありません。改良に改良を重ねてどんどんよくなっていくのでしょう。Webブラウザベースのシステム環境がゴール(究極の姿)と思っている人は、考えを改めなければならないかもしれません。

以下、第5章で取り上げられたWebサイトのリンクです。ご参考まで。

セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)
ケテラ・テクノロジーズ(Ketera Technologies)
ルーシッド・エラ(LucidEra)
ワークデイ(Workday)
アイOS(eyeOS
ユーOS(YouOS)
デスクトップ・オンデマンド(DesktopOnDemand)
グーウィ・ウェブトップ(goowy webtop)
ゾホ(Zoho)
シンクフリー(ThinkFree)
ジンブラ(Zimbra)
バズワード(Buzzword)
ロータス・シンフォニー(Lotus Symphony)
マイクロソフト・オフィス・ライブ・ワークスペース(Microsoft Office Live Workspace)
マイクロソフト・ポップフライ(Microsoft Popfly)
QEDWiki
グーグル・ギアス(Google Gears)







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2008年05月09日

Yahoo!がだめならFacebookがあるさ

Microsoftの経営判断はどうだったのか知る由もないが、インターネット時代におけるマイクロソフトのプレゼンスを早急に高めるためにはお金をどれだけ使っても構わないと考えているようだ。 Yahoo!がだめなら、どこか別の企業はないかなあと言いながら買い物をしていたわけではないと思うが、昔から目を付けていたFacebookに白羽の矢を立てるつもりのようだ。

昨日のポストでうわさレベルのものだと報告したが、もしかすると現実になるかもしれない。

マイクロソフトが欲しいのはインターネット広告のビジネスを推進できる会社である。そういいう意味ではSNSのFacebookを傘下におさめるのは正しい経営戦略だと思う。しかも、これからは単なる広告ではなく、ソーシャルグラフをベースとした人と人との関係を重視する広告が主流になると仮定すると、Yahoo!よりもFacebookを買収することの方が意義がある。そういえば、Yahoo!もSNSを持ってたような気がするけど、全然ぱっとしない(サービス名も忘れた)。もっと余計なことを言うと、グーグルもorkutというSNSを持っているけど、使われている地域が想定していた場所よりも小さい。

もし、マイクロソフトがFacebookの買収に成功したら、グーグルと真っ向から環境が整う。そうすると今度はYahoo!の立場が微妙になる。Yahoo!は早まったことをしたのだろうか。買収提案を受け入れた方がよかったのだろうか。

こういうことは歴史が決めることと相場が決まっている。ビル・ゲイツ氏がMicrosoftを引退するまでもう時間がない。それまでに決着を付ける可能性は大いにある。


◎[WSJ] MicrosoftがFacebookの買収を検討?
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/08/news062.html

◎マイクロソフト、次なる標的はFacebookか?
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20372748,00.htm


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2008年05月08日

Yahoo!を買わなかったMicrosoft、次の一手はすでに打っている

MicrosoftはYahoo!の買収をあきらめたが、転んでもただで起きないというか、準備は抜かりないというか、ビジネスにおいて絶対に負けないという信念が伝わってくるというか...、とにかくマイクロソフトのインターネット時代の覇者になろうとする姿勢は驚くほど強い。

Yahoo!買収で世界中をさわがせている中、Microsoftは、ノルウェーの検索エンジンベンダーであるFast Search & Transfer社を2008年4月25日に完全子会社としている(マイクロソフトのプレスリリース)。検索ベースのインターネット事業において、Yahoo!以外のオプションを確実に実行していたわけだ。これが、Yahoo!以外の選択肢だ。

検索機能をベースにしたサービスというと、第1位はGoogleで第2位はYahoo!、そして第3位はMicrosoftの順番で頭に浮かぶ人は多いだろう。 MicrosoftがYahoo!を買収するのは、2位と3位の企業連合を構成して、第1位のGoogleをやっつけようという狙いがあった。

だが、Fast社の完全子会社化という事実を考えてみると、Yahoo!の買収ってなんだったのだろうと思う。インターネット広告の仕組み以外はFast 社が持っている。MicrosoftにはFastの検索エンジン技術を核にして、インターネットビジネスを推進できるのだ。

また、MicrosoftがFastの検索エンジンを手に入れたことで、Googleが弱いエンタープライズシステム(企業情報システム)の分野で大きなシェアを取ることができるだろう。今でもMicrosoftには企業向け検索サービスとしてSharePointがある。これにFastを加えれば、さらに高度な検索機能を企業に提供できる。そして、企業での導入が進めば、インターネット分野でのFastの活用が見えてくる。

Fastの検索エンジンは、日本では楽天が使っているし、米国ではNewYork Timesも使っている。コンシューマ向けのインターネットサービスでも使用実績がある。後は広告配信システムだけだ。これも半分は検索がベースとなるので、半分は出来上がっているようなものだ。マイクロソフトの豊富な資金で、あとはどうにでもなりそうな気がする。

もちろん、マイクロソフトの理想は、Yahoo!を買収し、企業向けも一般消費者向けも同時に相手にしたかっただろう。そうすれば、一気にグーグルを追い詰める可能性もあったに違いない。

マイクロソフトはぎりぎりまで買収交渉をしたのだと思うが、結局はあっさりと身を引いたようにも見える。これはFastをすでに手中に収めていることからくる余裕と見えなくもないが、どうだろうか。

さて、マイクロソフトの買収戦略であるが、うわさのレベルでしかないが、facebookの買収を視野に入れているようだ。マイクロソフトが Facebookにかなり多額の投資をしている。この流れで買収まで行ってしまうこともありえるのだが、正直なところYahoo!よりもFacebook の方が手ごわい相手のような気がする。

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2008年04月23日

企業向け情報システムは、ようやく2.0の時代へ

エンタープライズ2.0(Enterprise 2.0)は、いわゆるWeb2.0の技術を組み込んだ企業向け情報システムである。社内SNSを筆頭に、社内ブログやWiki、ソーシャルブックマークなどを社内情報システムに活用しようというものだ。2013年には46億ドル(約4729億円)の産業になるらしい。

コンシューマ向けのWeb2.0の経済効果はどれくらいなのか分からないので比べようもないが、おそらくエンタープライズ2.0の方が市場規模は小さいだろう。もちろん、企業向け情報システムでは、製品単体の価格だけではなく、インテグレーションコストもかなりの額を見積もっておかなくてはならない。それでもトントンというわけにはいかないだろうが、それなりに大きな市場が見込めるわけだ。システムソリューションベンダーにとって“おいしい”市場になるだろう。

さて、私の会社でもそうなのだが、大きな組織になればなるほど、部署間のコミュニケーションが悪くなる。しかも、ビジネスモデルは複雑化しているので、利害関係を調整しなければならない部署は多くなる。よほど注意しないと、「俺はそんな話は聞いてない。そんなプロジェクトを認めるわけにはいかん!」などと情報の共有ができてない状態になる。

これを解決するのが、ちょっと前ならグループウエアだった。Notes(Domino)やExchang+Outlookといった製品だ。それが今では、情報共有といえば社内SNSが最初に挙げられる。余談だが、私の会社にも導入してほしい。

で、SNSというと、真っ先に挙げられるのがmixだ。知り合い同士でメッセージをやりとりしたり、コミュニティに参加してることで趣味の情報を仕入れたり、自分の持っている知識を公開して、会員とコミュニケーションを行うサービスである。

つまり、エンタープライズ2.0はコンシューマ向けの技術がベースになっている。これを社内情報システムに応用する。「個人のツールが組織のコミュニケーションツールになる」と書いてしまうと違和感はあるが、一緒に仕事をする人はマイミクみたいなものだし、プロジェクトはコミュニティみたいなものと考えれば、それほど不自然ではない。むしろ、プロジェクトや部署単位で結束が固くなるようなイメージが出てくる。mixiの日記は社内ブログと同じものと考えていいだろう。

エンタープライズ2.0のようにコンシューマ向けの技術が企業向けに応用された例は多いのだろうか。実は最近はコンシューマ向け製品の方が進んでいて、IT関連機器・サービスにおいては、企業向けの製品・サービス発のものはあまり元気がない。

例えば、ハードウエアの世界に目を向けると、昔はメインフレームコンピュータに技術の粋を集めた。そしてメインフレームで培われた技術はパソコンへと実装された。それが今では、パソコンに最先端のテクノロジーが搭載されることが多くなった。しかもかつての最先端のメインフレームは、パソコンを強化したものに過ぎなくなった。

企業向けシステムも、エンタープライズ2.0のようにコンシューマ向けの技術をどんどん取り入れるのが大きなトレンドとなるだろう。

以下、参考情報です。

◎Enterprise 2.0 To Become a $4.6 Billion Industry By 2013
http://www.readwriteweb.com/archives/enterprise_20_to_become_a_46_billion_industry.php

◎大企業ほど社内SNSに興味あり?
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2008/04/sns-8aab.html

◎Forrester: Social networking will be biggest enterprise 2.0 priority by 2013; Smaller businesses reticent
http://blogs.zdnet.com/BTL/?p=8555


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2008年04月22日

消費者にダイレクトに接触できるウィジェットベンダー、日本に登場するのはいつだ?

コンテンツプロバイダが提供するコンテンツを見るときに、消費者(コンシューマ)は何を使っているのだろうか。話が拡散しないように、ここでいうコンテンツとは、Webブラウザなどで閲覧できるニュースや小説、ダウンロードして楽しむ音楽や映像に限定しよう。デジタルコンテンツを楽しむためのプラットフォームについて考える。今回はどちらかというとニュースがどのように扱われていくのか、過去から振り返ってみたいと思う。

さて、新聞社や出版社などのメディアがインターネットでニュースを流し始めたときは、消費者は各メディアのWebサイトにアクセスしてニュースを読んでいた。コンテンツプロバイダとコンテンツディストリビュータが同じ会社だった。流通業にたとえると、メーカーが消費者に販売する直販モデルだっといっていい。デルのパソコン販売手法と同じビジネスモデルだ。

そして、Yahoo!全盛の時代がやってきて、コンテンツを集めて消費者に届ける企業が頭角を現してきた。コンテンツアグリゲーターの登場である。グーグルもそのアグリゲータの1社と考えてもいいだろう。コンテンツアグリゲータが消費者にコンテンツを届けるディストリビュータの機能を兼ねた状態だ。デパートがメーカーから仕入れた商品を売るようなビジネスモデルである。ここで、コンテンツプロバイダと消費者の間に1つの企業がはさまった。どのコンテンツが消費者に選ばれるかは、コンテンツプロバイダがどうこうできる次元ではなくなった。より消費者に近いコンテンツアグリゲータがデジタルコンテンツを支配していった。

そして、現在はどうだろうか。コンテンツを提供するのが従来のメディア企業だけではなく、消費者もブログという形態でコンテンツを配信できるようになった。コンテンツを提供する消費者はプロシューマと呼ばれる。従来のコンテンツプロバイダはプロシューマとも同じ土俵で勝負しなければならなくなった。アクセスできるコンテンツ量が爆発的に増えたことで、消費者は必要なものだけを取捨選択できるように、RSSフィードを受信してコンテンツにアクセスするようになった。

すでにメディア企業が特別視される世界ではない。消費者が接するべき情報を選択できる時代になったわけだ。その消費者がコンテンツに接するのはRSSなのであるが、今では直接RSSを購読するという意識を持っている人の方が少ないだろう。もちろん、このブログを読んでいただいている方は、RSSフィードは RSSリーダーで読むものと思っている人の方が多いかもしれない。

これからはRSSフィードについて知識がなくても利用できるようになっていくだろう。iGoogleやMyYahoo!、Netvibesといったスタートページがその走りである。これらスタートページサービスはRSSをほんとんど意識させない。消費者には、自分が見たいものを自分のWebページに置いておくぐらいの意識しかない。技術的にはこれは正解だ。スタートページはそれほど普及しているとはいえない。特に日本では。ただ、これも時間の問題で、便利に使いたいなと感じ始めたユーザーはスタートページを避けられないと思う。自分専用のポータルを作成できるので便利なのだ。スタートページにはニュースだけでなく小さなアプリケーションも配置できる。スタートページは情報収集と実際の仕事を1つの画面でできるようになっていく。

となると、消費者の心をつかむのは、スタートページサービスを運営する企業ということになる。ただし、こここで注意しておきたいのは、スタートページのベンダーだけでは消費者に便利なサービスを提供できないのだ。

スタートページにはウィジェットと呼ばれる小さなプログラムを配置する。ウィジェットがRSSフィードを読み込んで記事リストを表示したり、TO-DOリストやメール、カレンダ機能もウィジェットを通じて消費者に提供される。表にはスタートページしか見えないので、スタートページが消費者に直接アクセスするメディアかと思うがそうではない。ウィジェットこそが消費者にじか接するメディアなのである。

米Slide社など、ウィジェット専業企業も登場している。日本ではこのような企業の存在を聞かないが、今後は出てくるだろう。もしかすると、米Slide社などが広告を求めて日本に進出してくるかもしれない(日本がスルーされている可能性もあるが)。

流通業を見てみると、消費者に接する小売が一番力を持っている。コンテンツ配信でも同じように、消費者により近いところが力を持ち、コンテンツをマネタイジングできるようになるだろう。幸いなことに、スタートページやFriendFeedなどのアグリゲーションサービスのほとんどは海外生まれなので、日本独自のサービスに対応していないことが多いとんど。mixiなんかがどこかのスタートページに対応するといいと思うし、お金を産む原動力になると思う。

日本のスタートページサービスでは、エクストーンが運営する「trunc」が先端を行っていると思う。ウィジェットの開発プラットフォームなどを公開すれば化けるかもしれない。現状では、クローズドな規格でサービスを提供しているので、対応しているサービスの数が増えていくスピードは速くない。これを加速させれば、iGoogleやMyYahoo!と肩を並べられる存在になるかもしれない。

コンテンツをマネタイズするには、やはり消費者の近くで消費者が欲するものを提供し続けなければならない。そして、広告も適宜配信できるような仕組みも必要である。純粋にコンテンツだけにお金を払うのは、音楽や映像などのごく一部だけだ。ニュースや個人向けツール類などは無料があたりまえの世界なので、(この状況が正常かどうかはともかく)広告をいかに効率よくターゲットに配信できるかがキーになる。

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2008年04月15日

インターネット広告と企業向けアプリケーションでは、どちらが儲かる?

企業向けアプリケーションとインターネット広告を比較して、何が出てくるのだろうかと思うかもしれない。どこかで何かがクロスしそうなので、そのもやもやをこのポストで吐き出したい。

さて、ここでいう「企業向けアプリケーション」はマイクロソフトを示すと考えてほしい。企業で導入されているパソコンのほんどはWindowsパソコンであり、そこにインストールされているソフトはMicrosoft Officeであることが多い。部門サーバーはWindows Serverを使いことが多いだろう。もしかすると、企業内で情報共有のためにグループウエアのExchangeを導入しているかもしれない。 Exchangeを導入しているのなら、クライアントにはOutlookを使うことになる。その他に...、と続けているときりがない。それくらい、マイクロソフトの製品は企業に導入されている。

一方、ここでいう「インターネット広告」はGoogleのことだと思っていい。検索技術を武器にして、検索結果や各Webページを広告媒体にしてしまう「アドワーズ」(AdWords)で莫大な利益を計上している。また、個人向けに無償で提供しているWebメールのGmailなども基本的にはAdWordsの広告による売り上げで運営している。

とまあ、ここまではよく知られているところである。しかし、別の動きがあることにも注目しなければならない。

大きく報道されたものから指摘すると、マイクロソフトがYahoo!を買収したがっている動きだ。これは改めて言うまでもなく、Yahoo!の広告システムを狙った買収だ。マイクロソフトは、敵対的買収という手段に出てもYahoo!を買いに行く。それくらいインターネット広告による収益は大きいものだとマイクロソフトは見ているのだともいえる。パッケージによるソフトウエア販売という形態を維持できないマイクロソフトの苦悩の末の一手ともいえるだろう。グーグルがやっているように、ソフトウエア(サービスと言い換えてもいい)はインターネットを通じて提供されるようになるのは間違いない。すくなくとも、これからの10年はその方向で進む。
だとすると、パッケージで儲けていたマイクロソフトはパッケージ以外の収益源を見つけなければならない。余談だが、WebブラウザのInternet Explorer(IE)を無償で配布したのは誰だっけかな。ソフトウエアの価格を下げたのはマイクロソフト自身かもしれない。その時のツケを払うときがきたのかもしれない。

次は、グーグルである。グーグルはグーグルで質の悪い広告が増えていることでクリック率の低下などを招いている(クリック率の低下については元ネタがどこなのか失念しました)。グーグルにはインターネット広告は現状と同じように売り上げを伸ばしていくことは困難だと考えているのではなかろうか。なので、企業向けシステムとの連携(関連記事:Google’s “five year plan” to get into Enterprise continues)をはかるためにsalesforceと提携したのだろう(関連記事:More Details On The Google-Salesforce “Enemy Of My Enemy Is My Friend” Alliance)。SaaS(Software as a Service)形式で企業にサービスを提供しているsalesforceとグーグルは相性がいい。

パッケージを使わないソフトウエア(サービス)の提供は、マイクロソフトもグーグルも同じ考えである。ただし、先行きが不透明なインターネット広告に賭けるマイクロソフトの方が、数年後はヤバイことになっているかもしれない。

個人的には、企業向けのシステムの方が利益率は高いのではないかと思う。個人が仕事に使うツールはWebで展開するかもしれないが、サーバーにインストールして使う企業の業務アプリケーションは、パッケージとして販売されるのがしばらくは主流だろう。サーバーソフトがパッケージとして売れなくなったら今度はSaaS形式での提供をメインにすればいい。マイクロソフトはインターネット広告で覇者となる戦略はやめた方がいいのではないかと思う。マイクロソフトの強みは企業向けソフトウエアにあるのだから。

グーグルは企業向けサービスに進出するのは当然の成り行きであろう。本格的に企業をターゲットにしたときに、マイクロソフト vs グーグルの本当の戦いが始まる。早ければ今年から、遅くとも2010年までには新たな戦いが始まっているだろう。もしかすると、マイクロソフトとグーグルと同レベルの極となうる別のプレイヤーが企業向けソフトウエアの市場に参入しているかもしれない。

posted by やすお at 01:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2008年04月12日

OSはなくならない。ただ隠れるのみ・・・だと思う

パソコンといって思い浮かぶ企業がマイクロソフトだったのは過去の話。いまやパソコンを使うといえば、Webブラウザとメールを使うことを意味するようになり、思う浮かぶ企業といえばヤフーやグーグルといったWebサービスを提供する企業ばかりになった。

さてマイクロソフトのWindowsであるが、次のWindowsは2010年ごろに「Windows 7」という名称でリリースしそうだ。そして、この製品がパッケージとして最後の製品になるかもしれないとうわさされている。企業向けのパソコンではまだまだWindows XPが現役というか主流である。Windows Vistaへの移行が進まないのは、パソコンを買い換えたり、Windowsのバージョンアップコストが高くつくからだ。一般的に、現状で問題なく動いているシステムはできるだけそのままにしておきたいとシステム担当は考える。また、企業内で作成されたプログラムの動作チェックのコストも馬鹿にならない。こんなわけで、企業ではかなり時間をかけなければクライアントOSのバージョンアップはできない。

現在、企業内アプリケーションがWebベースになっているのも、アプリケーションの更新しやすいからだ。デスクトップアプリケーションだと、必要な人に必要なタイミングで個別にアプリケーションを配布しなければならない。Webベースにすることで、アプリケーションを更新するときはWebサーバーまたはアプリケーションサーバーのプログラムを修正するだけでよい。デスクトップソフトのOfficeをバージョンアップするのに比べると100倍くらい楽である。特に会社の規模がおおきくなればなるほどバージョンアップの手間は軽減される。

バージョンアップで仕事量が増えるのを懸念している人がどれくらいいるのか分からないが、結構多いと考えて、
調査・コンサルタントのガートナーは、2011年にWindowによらないWebベースのアプリケーションが台頭すると予想している(参考記事:Windows "Collapsing" - 2011 Tipping Point For Web Apps In The Enterprise)。マイクロソフトがIT業界に与えるインパクトが相対的に小さくなり、かわってGoogleやfacebookがIT業界の覇権を取る。そんなシナリオが予想される。

でも、ちょっと待てよ。Webベースのアプリケーションがどんなに使われるようになっても、Windowsは消えることはないのではないだろうか。

computing_sructure.bmpWebサービスはWebブラウザ上で動く。さて、このWebブラウザを動かしているのは誰でしょう。そう、パソコンにインストールされた現状のOSだ。もちろん、2011年にはパソコンのOSの再定義がなされ、まったく別の方式でパソコンを使っているかもしれないが、今のところは考えにくい。ここは、 Windowsが崩壊するのではなく、WindowsがITの主役から降ろされたと考えるのがいい。今までOSに注目していたが、今ではもっと上位のアプリケーションに注目するようになった。それだけのことであろう。

ただし、グーグルやヤフーなどのアプリケーションが注目される期間は永遠には続かないだろう。アプリケーションもOSもデータもすべてサーバーに置くコンピュータの使い方は、メインフレーム主全盛時代の使い方と似ている。メインフレームにあるプログラムを操作するには、専用の端末でメインフレームにログインして使っていた。パソコンがまだ普及していないころの話だ。そして、パソコンの性能が上がるにつれて、メインフレームで処理していたものパソコンでも処理するようにした。これがクライアンント/サーバー・コンピューティングである。

Webアプリケーションを使うのが全盛になっている状況は、メインフレームをダム端末を介して使っているのと似ている。なので、Webアプリケーション時代の次は、クライアント/サーバー型を発展させたものになるだろうと予想できるのだ。どういうものになるかは想像できないが、なぜかコンピュータの歴史は集中と分散を繰り返している。それだけ理想形というものがない業界なのだろう。

これまでパソコンにはWindowsが入っているものというステレオタイプが刷り込まれている私には、Windwosの崩壊というのはにわかには信じがたい。でもきっと現実にはWindowsが日陰に追いやられてしまうのだろう。そして、Googleやfacebookもいつかは同じ道をたどることになる。

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2008年04月11日

死亡原因:ブログ

死因とどれだけ因果関係があるのかは不明だが、米国の有名ブロガーが命を落とすケースが相次いでいるという(参考記事:米国で著名ブロガー死亡相次ぐ 日本でも「ドクターストップ」発生)。心臓発作や血栓症などで死亡してしまうのだそうだ。

確かに、インターネットの分野でブログを書いているとよく分かる。動きが非常に速いし、ネタもそこらじゅうに転がっている。面白いものを見つけると紹介したくなるのがブロガーだ。そんなわけで、テクノロジー系ブロガーは好んで24時間ずっとブログを書くことになる。説明するまでもなく、健康には悪い。

日本では死亡例はないそうだが、それは表に出ていないからかもしれない。ブログだけで生計を立てられるほど収入を得ている人はごくごくわずかだからだ。

ただし、生計を立てられるほどのアルファブロガーになってしまえば、普通の新聞記者や雑誌記事ライターのように、記事の企画(ネタ探し)から取材・執筆、公開という一連のプロセスを実行すればよい。ここまで達する人々はプロのブロガー(職業ブロガー)だ。

米国では職業ブロガーはがんばった分だけ報酬を得られるようになっている。人が無茶をする原因のひとつに高い報酬を得るためというのがある。死亡したブロガーは高い報酬のために体を壊したといってもよい。もちろん職業ブロガーであれば、記事を提供し続ける社会的責任も生ずるので、そのプレッシャーもあったのだろう。

では、アルファブロガーではない、通常は会社などで働いていて、自由な時間でブログを書いている人たちはどうだろうか。こちらは兼業ブロガーと言ってしまっても構わない。こういた兼業ブロガーは自分の時間を切り売りしてブログを書くことになる。ネタ探し(記事の企画)や執筆にあまり時間をかけることはできない。でも、ブロガー魂はあるので、書かずにはいられない。どうしても睡眠時間を削ってブログ執筆をしてしまうだろう。

日米を厳密に比較したわけではないが、日本人ブロガーも体調を崩してしまう人が今後は増加(表面化)するだろう。特に危ないのは、睡眠時間を削ってまでしてがんばる兼業ブロガーだと思う。私も兼業ブロガーである。他のブロガーと同様に、お伝えしたいことは書きたいから多少の無理はしている。とはいえ、ブロガーが死亡する記事を読むと、やっぱり健康には気をつけなきゃと思う。

今回はネットの未来について言及していませんが、ブロガーが死なないようにする健康ビジネスなんかがはやってくるのかなと感じた。何か物事を実施するためには、動ける体が不可欠だ。健康でなければ質のいい記事はなかなかかけないわけだから、体を壊さないのもビジネススキルの1つなのだと思う。まあ、なんというか、私は私なりにがんばります。それしかできないので。

【標語】健康のためブログの書きすぎには注意しましょう。
タグ:健康 ブログ


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2008年04月10日

スタートページのnetvibesが新機能をチラ見せ

自分が必要な情報をまとめて表示するWebページ(スタートページ)サービス「Netvibes」がある。スタートページサービスとしてはかなりメジャーなものである。

見たい情報は画面に組み込んだwidgetという小型のプログラムのようなもので見る。私はタスク管理Webサービスの「Remember The Milk」や各種ソーシャルブックマーク、各種SNSのwidgetを組み込んでいる。用意されているwidgetはかなり多く、必要なものはほぼ揃う。日本のWebサービスに対応したものが少ないのが難点ではあるが、日本語は通るのでいろんなサービスが公開されるのは時間の問題かなと考えている。

ところで、このnetvibes。widgetという形式でどんどん新機能が追加されていくので、使っていて面白い。そして今回はかなり大きい新機能ではないかと思わせるものをちょっとだけユーザーに見せている。

netvibes_drive.pngこのスクリーンショットを見ていただこう。トップページの右上にある「経歴」アイコンの左側に「Drive」というアイコンが追加されている。私が気がついたのは2008年4月9日の午前中(日本時間)だった。ぱっと見たときは画面にひっついているゴミにしか見えなかった。何だろうと思って「Drive」アイコンにマウスオーバーすると「coming soon」とポップアップバルーンが表示される。

これはどう見ても新機能だろう。しかも名称からしてオンラインストレージである可能性が高い。スタートページにストレージサービスということは、ファイル共有サービスをNetvibesが独自で始めるのだろうか。ディスク容量はどれくらい割り当てられるのだろうか。疑問はつきない。楽しみに待つとしよう。使える容量に制限がないことを祈って。



◎2008年4月10日 追記

2008年2月くらいから「Drive」のアイコンは表示されていたようだ(参考)。そしてこの機能はやはりオンラインストレージのようである。仏Steek社のオンラインストレージ技術を使うそうです。仏Steek社からプレスリリースが出ていました。



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2008年04月02日

大きなプログラムと小さなプログラム−サクラのスライドショーから考える

東京都内の桜はそろそろ終わろうとしている。花見をするなら今を逃してはいけない。今年の桜はどうだっただろう。人間の記憶はあやふやなので、デジタルデータとして記録した。ついでなので、カッコよくスライドショーにしておいた。

今日のポストはスライドショーを自慢したいわけではない。スライドショーを通してWebの未来を紹介する。とりあえず、せっかくなので、まずはスライドショーをお楽しみいただきたい。








どうだろうか。このスライドショーの作成には米slide社のWebサービスを使った。スライドショーで表示している桜の写真は、私の携帯電話で撮影した写真をデジタルフォトや動画を保存できるphotobucket(米Photobucket社)にアップロードしたものだ。ちなみに、スライドショーの作成に費やした時間は5分ほどである。まあ、桜をテーマにすると決めていたので、作りやすかったのも事実である。

「まだWebの近未来なんて出てきてないじゃないか」と思うかもしれない。しかし、今回私が作成したスライドショーにWebというかプログラムというかコンテンツの未来形がある。

最終的に私が作成したスライドショーは、このブログの記事として使われたし、私のfacebookのFunWallにもポストした。もちろん、slideのWebサイトでもスライドショーを見ることができる。

ここまでの流れを整理しよう。

  1. まず、撮影した写真をphotobucketにアップロード
  2. slideでphotobucketにある写真を組み合わせてスライドショーを作成
  3. facebookとブログでslideに保存しているスライドショーを公開

私が使ったWebサービスは「photobucket」「slide」「facebook」「ブログ」の4種類だ。facebookとブログはコンテンツの公開という同じ役割なので、実質的には3種類のWebサービスを使っている。photobucketは写真や動画を保存する機能、slideはスライドショーの作成のみ、facebookとブログは作成したコンテンツを他人に見せるために機能を提供しているにすぎない。

各Webサービスの比較的単純な機能を組み合わせて最終コンテンツに仕上げる手法は「マッシュアップ」といわれる。マッシュアップという手法も近年注目されている技法であるが、ここで言いたいのはマッシュアップのことではない。

比較的単純な機能は、いわば「小さなプログラム」である。ここではそう考える。「小さなコンテンツ」と言い換えてもいいだろう。これら小さなプログラムを組み合わせて「大きなプログラム(大きなコンテンツ)」(ここでいうfacebookやブログで提供するコンテンツのこと)をWebの世界で作成できるようになったのだ。

「大きなプログラム」と「小さなプログラム」−−−これはどちらかが良くて、どちらかが悪いというものではない。これまで、プログラム作成(コンテンツ作成)は「大きなプログラム」が主流になったり「小さなプログラム」が主流になったりを繰り返している。たとえば、Windowsシステムがデファクトスタンダードで使われ始めたころ、同時にOfficeソフトが肥大化した。1つのソフトで何でもできるようにしたのだ。プログラム開発の効率のよさなどはほとんど考えられていない。その結果、マイクロソフトはOLE(Object Linking Embedding)やAppleを始めとするOpenDocという規格が作成され、1つの文書に動画像を埋め込める技術が使われそうになった。ただし、 OpenDocに関しては、この試みはうまくいかなかったといえる。

この失敗を元に、再度Officeが肥大化した。そして、再度、プログラム(コンテンツ)は小さく分割されつつある。今度はOfficeではなく、プログラム(コンテンツ)を載せるWebが議論の中心となった。現在のWebではウィジェットをページ内にいくつかちりばめて、1つの画面を構成するようになっている。

単なる歴史の繰り返し?と思うかもしれないが、今度は各Webサービスで提供しているサービスは単体でも使えるところが異なる。photoucketでも単体でスライドショーを作成することができるし、slideだって写真を保管する機能がある。facebookにも写真を管理する機能がある。ブログにも写真を載せるためのデータを保管するスペースを持っている。

ここからは私見であるが、これからの3年間はWebの世界に限っていえば、ウィジェットベースの画面やプログラムの作成が主要となる。現時点ではまだ実感がわかないだろうが、それはウィジェットが表になかなかでないからだ。すでに、企業内ポータルシステムなどでは、ポータル画面上で動くウィジェット(ポートレットともいう)を組み合わせて構築するのが普通である。また、個人向けのサービスではiGoogleやNetvibesといったスタートアップページを提供するサービスでは、ウィジェットが整然と並んでいる。ひそかに使われているのだ。全面的にウィジェットが表に出てくるにはもう少し時間が必要である。

さらに、ウィジェット全盛時代は長くは続かない。次(10年後くらいかな)はまた大きなプログラム(コンテンツ)の時代に進むだろう。決して戻るわけではない。何か便利なものを実装して、昔とは比べられないくらいきれいになって、しかも耐障害性に強いものができるのであろう。

ITの世界は過去に繰り返しが発生している。今回のポストも実はIT世界の動きに打ち負かされるなといいたいだけのことだ。大きな流れに注目すると重要なものが見えてくる。

posted by やすお at 01:49 | Comment(3) | TrackBack(1) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする



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