2008年04月05日

SNSがインターネットを小さくする


時計の針を10年前に戻そう。

当時は、「インターネットで世界中の人とつながりますよ」「Webサイトを立ち上げれば、地球の裏側からアクセスしにくる人がいますよ」なんて言われた。当時はすげえことだと素直に他人の意見を聞いてしまった人もいるだろう。常識で考えれば、日本語のWebサイトに日本人以外の方が見にくるわけもなく、しょうもないコンテンツしかなければ、地球の裏側から見に来られたところで、何もおもてなしすることができない。

ここで、時計を現在に戻す。

広大な海のように感じられたインターネットであったら、意外とその世界は狭かったということを多くのWebサイト運営者は感じたのではなかろうか。

さて、ソーシャルネットワーク(SNS)である。実は、インターネットをもっと狭くしているのはSNSなのではなかろうかと仮説を立てている。確かに、GoogleやYahoo!といった検索サービスが出てきてからは、リアルな世界では知り合えなかった人や企業・サービスにアクセスできるようになった。インターネットで知り合える範囲は広がっているといえば広がってはいるが、それは10年前のインターネットに初めて接したときと同じ錯覚なのではないだろうか。

確かに、SNSで地球の裏側の人と知り合いになれたりする。これはインターネットの世界を広げるものだ。一方、SNSはインターネットに接続するすべての人が会員登録していないし、日常的に使っているわけでもない。きわめて狭い範囲でしか提供されていないサービスである。世界最大のSNSであるMySpaceでさえ、たかだか2億アカウントである。地球の人口が60億を超えている現在、2億といってもたいした数字ではない。

そして、SNSで知り合いになるには、友達になろうというリクエストを出し、承認してもらえればめでたく友達としてソーシャルグラフを拡張できる。これは非常に体力と気配りが必要な作業である。必然的に、SNSでの知り合いは爆発的に増えないのが一般的である。

狭いから悪いのではない。矛盾するかもしれないが、やはりインターネットは大海である。なので、狭い範囲のコミュニティの方がかえって都合がいい場合がある。

たとえば検索。自分が何かを調べる時の行動もSNSで変わるかもしれない。インターネットで何か調べ物をするとき、検索エンジンを使うのが常套手段だろう。これが、 SNSを中心としたネット社会が出来上がっていると、検索エンジンよりもSNSでつながっている人に問いかけた方が手っ取り早いことが多くなる。リアルな世界だと、仕事で分からないことがあったら隣の席にいる人に聞くのが一番早かったりする。これをネット上で行うわけだ。距離の制限を考えなくてよくなるので、遠く離れた知り合いでさえ、SNSのソーシャルグラフを通すと、隣の席の人に問いかけるのと同じ感覚で接することができる。そして、SNSでの知り合いは自分の知りたい答えを持っている確率が高い。

便利といえば便利なのだが、なんとなくインターネットが狭くなっているような気がするのだが、いかがだろうか。

また、SNSを通じて知り合った人は自分が知りたい情報を持っている確率が高い。そりゃ、自分の興味と近い人を知り合いとして迎えるのだし、こちらから友達にな
るためのリクエストを出すときも、趣味や考え方がまったく異なる人には出さない。なので、これから先、もっとmixiやfacebookといったSNSが
使われ、または企業システムの一部としてさらに導入進んだとすると、インターネットをコンパクトに使うことができる。つまり、自分が必要とする範囲内で効率的にインターネットを利用できる。

ひとつ間違えば、そこに待っているのは、自分の興味の範囲でしかつながりを持てない狭い世界、“デジタ
ル引きこもり”といえなくもない状態になるかもしれない。これはちょっと極端な想像ではあると思うが。

でも、私はこのような状態になるのは悪いことではないと思う。現在の検索エンジン中心の情報収集は、SNSにより人力での検索に変わる。なにより、人のぬくもりが感じられるのがいいではないか。「趣味のサークル2.0」とか「仕事場2.0」「近所付き合い2.0」と表現すると格好いいだろうか。
posted by やすお at 02:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | SNS一般
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