ソーシャルグラフとは、簡単に言うと自分の交友関係を記したものだ。ソーシャルグラフを活用したビジネスというとmixiといったSNS(Social Netowork Services)を想像するが、ここでいうソーシャルグラフはmixiといった1つのSNSの枠を超えた人と人とのつながりを示す。
世界中にはたくさんのSNSがある。現在はそれぞれのSNS内で閉じた関係しか構築できない。リアル世界にたとえたら、学校や企業の中でしか友達をつくられない制限があるみたいなものだ。常識で考えると非常におかしな人間関係を築いているのが現状のSNSである。このリアル世界と同じように、さまざまな立場の人とさまざまな立場で人とつながる世界を実現する動きが活発になっているのだ。
人と人とのつながりはビジネスの基盤となる。エンドユーザーから見れば、古い友人や距離が離れてなかなか会えない友人が何を考えていて何をやっているのかなどをいつでも知ることができる。またSNSサービスなどを提供するサービス事業者から見ると、誰か1人に対して広告などで物品の販売に成功した場合、ソシャルグラフをたどって見込み顧客にも効果が波及するのを見込める。友人が気に入ったものはその友人も興味を持つことが多いし、商品を購入した人が友人に「これいいよ」と薦めると、すすめられた友人はその商品が気になって仕方がなくだろう。いわゆるインターネット版クチコミ効果だ。
今のところソーシャルグラフをうまく活用できているのは米国で2番目の会員数を誇るfacebookである。フレンドになっていると、フレンドがどのような人とフレンドになったか、どのようなアプリケーションをインストールしたのか、どのような写真や動画をアップロードしたのかなどが逐一分かる。もちろん自分のfacebook内の行動もフレンドに通知される。
さて、ソーシャルグラフの覇権争いに話を戻そう。

先行するfacebookであるが、Googleがfacebook包囲網というべきコンセプト「OpenSocial」を昨年10月に発表した。facebookの独り勝ちをGoogleが阻止する形だ。
facebookはMicrosoftと提携というか資金を出資してもらって強い基盤をつくろうとしている。LinedInやBeboといったサービスも facebook&Microsoft連合の仲間に加わっている。faceookを核としてさまざまなソーシャルメディアに影響力を広げていこうというアプローチだ。
一方、OpenSocial陣営はそれほどGoogleが前に出ず、対応するWebサービス同士がオープンになっているAPIで相互につながるといったイメージだ。Yahoo!とMySpaceを味方につけたことで、こちらも強力な基盤を築きつつある。OpenSocialの不安要因は、OpenSocialがまだどんなことに使えるのか分からないこと。OpenSocialに対応したWebサービスが登場するのは早くても2008年後半になるだろう。
OpenSocial陣営にとってYahoo!を取り込めたのがうれしい。Yahoo!がOpenSocial支持になった背景には、Microsoft による買収案件があるのだろう。インターネット検索の世界ではライバル企業として競い合ったGoogleとYahoo!であるが、ソーシャルグラフのビジネスにおいては共同戦線をはることになった。これは考えようによっては面白い出来事だ。
インターネットの世界は、最初は検索をベースにしたビジネスが主流だった。次に来たのはポータルサービス。そして、ここ数年はソーシャルグラフがビジネスの中心となるだろう。人と人とのつながりを制したものがインターネットの次の10年(5年くらいかもしれないが)を制するだろう。今こそインターネットの将来を決める重要な時期にある。インターネットのパラダイムシフトを感じる。実に面白い。
以下、参考記事。
◎米Microsoft、コンタクトデータの共有でFacebookなどと提携
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/03/26/006/index.html
◎Yahoo!がSNS向けAPI群「OpenSocial」を支持,Google,MySpace.comと非営利団体設立へ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080326/297086/

