2008年03月23日

放送記念日特番に見るNHKの思惑


昨日(3月22日)は放送記念日だったそうだ。その放送記念日に日本放送協会(NHK)が特番を放送した。「新動画時代 メディアが変わる」という番組だ。

インターネットの動画共有サイト「YouTube」をメインに紹介して、動画というものはテレビだけじゃないインターネットでも見られるんだということを紹介。若い人はネットを、そうでない人はテレビで動画を見るという習慣になっている。だからテレビはこういう風にならなきゃいかん!、といった現実と将来と放送局の思惑とが微妙に交じり合った内容だった。

放送法でインターネットへの番組配信を禁じられているNHK。はたしてNHKはインターネットの世界に何を期待しているのだろうか。広告モデルで運営する民放であれば、広告主に対して「電波だけじゃなくてインターネットにも番組を流しているので、広告料をもっとください」と広告料金の割り増しを狙ったり、「インターネット番組向けのスポンサーになりませんか」と新規広告主を募ることもできる。

番組を見ていると、NHKがインターネットを使った動画配信をやりたくて仕方がないことが分かる。では、NHKの狙いは?

NHKは視聴者の受信料で成り立っているので、素直に考えれば、インターネットでの動画配信も受信料でまかなうことになるのだろう。つまり、「インターネット受信料」なるものを設定して、新たな収入源を確保する目論見である。だとすると、私たちは地上波と衛星に加えて、インターネットの受信料も払うようになるのだろうか。インターネットにつながる家庭だったらインターネット受信料を払わなければならないのだろうか。これはいくらなんでも認められないだろう。

番組の最後の方では、NHKアーカイブスの宣伝をしていた。確かにNHKが持っている映像コンテンツは歴史を語る上でも重要な資料である。それをNHKが誇りに思うのはいい。人のためにインターネットで公開する必要があるんだと主張するのもいい。

だけど、NHKアーカイブスのインターネット配信については、ビジネスモデルを慎重に考えた方がいい。せっかく特番でYouYubeについて調べたのだから、YouTubeもビジネスモデル確立で苦労していることくらい分かったはずだ。公共放送とはいえ、資金がなければサービスは提供できない。もちろん受信料だけではなく税金、もしくは広告でまかなう方法もあるだろうが、どちらにしろビジネスモデルの選択に誤りがあれば、せっかくのコンテンツが日の目を見ないことになりかねない。

余談だが、作詞家の秋元康氏が「テレビ局は動画のソムリエに」と言っていた。私はその言葉に一番共感した。動画を電波で流そうがネットで流そうが、何が面白いのか、どうすれば面白いのかを目利きできるのは、やはり映像のプロであるテレビに携わる人々だろう。YouTubeでたくさんの動画が見られる環境にあっても、実際のところ、自分にとって面白いものは何かを自分で選ぶのはものすごい労力が必要だ。

現在のテレビ局は、マスに対して、「これが面白いよ」としか提案できない。これを「あなたはこれが面白いと感じるんじゃないですか」と提案できるのが、ソムリエになるべき次世代テレビ局の姿なのだろう。技術的な壁はいくつもあるだろうが、それこそインターネットとITを活用すれば可能になると思う。

posted by やすお at 07:42 | Comment(0) | TrackBack(1) | IT業界動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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