2009年02月18日

社内調整を効率よくするために少し考えてみた


社内の情報共有はものすごい力と気を使う作業だ。特に組織が大きくなればなるほど、何か仕事を進めるために社内の関連部署を走り回る社内調整にかかる時間が必要になる。これを怠ると、せっかくリリースまでこぎつけたサービスでも、「俺は聞いてねぇ」の一言で振り出しに戻される。モノポリーで「Go to Jail.」に止まってしまったようなものだ。そこから抜け出すには決して安くはないコストを支払わなくてはならない。

では、どうすれば社内調整をスムーズに行えるのか。正直なところ最適な解はない。あるとすれば、「俺は聞いてねぇ」という発言をさせないことなのだろう。これには、社内のステークホルダーに対して、適切なタイミングで適切な情報を提供することに尽きるとおもう。まあ、この作業を社内調整というのだろうけど。

で、これを効率よく実施するのが難しいので、どうしようかということだ。話がぐるりと回ってしまったが、社内調整で走り回る人の努力だけではどうにもならないと思う。個別にキーマンと接触し、その時は適切なタイミングで適切な情報を提供できても、キーマンの助言(たいていは余計なお世話だが)を反映させていくと、また最初から個別に説明をしなければならなくなる。これは「俺は聞いてねぇ」よりもたちが悪いかもしれない。キーマンの助言(たいていは本人が仕事をしたという満足のために言う戯言であることが多い)に罪はない。重要な指摘だってあるだろう。しかし、重要(だと思われる)助言(条件)が矛盾したものになっていて、あちらの顔をたてればこちらが立たず、なんてことにもなりかねない。

キーマン同士がすり合わせをしてくれればいいのだが、それを期待するのは無理だ。ということで、社内調整に走る人が、キーマン同士のすり合わせをするようになる。もともと相容れない条件であることがほとんどなので、うまく妥協案をみつけなければ、何も先に進めない。そして幸運にも妥協案が見つかっても、今度は別の人が「俺はそんな話になるとは聞いてないし、了承した覚えもねぇ」と言い出すかもしれない。こうして、社内調整サイクルだけが、良質のPDCAの正反対の向きに回っていく。当事者だけが疲弊していく恐怖のスパイラルだ。

このスパイラルを発生させないためには、情報共有のやり方にもう少し知恵を出さねばならないと思う。先ほど、適切なタイミングで適切な情報を提供することが重要だと書いたが、ここにもう1つ、「関係者全員に対して同時に周知する」というのを加えなければならないと思う。

この「関係者全員に対して同時に周知する」は、アナログの世界であれば、全員が1か所にあつまる"会議"を開催することで実現できた。もちろん、ステークホルダー全員の日程を調整するのに骨を折らなければならないのだが、個別に意見を調整するよりはやりやすい。そして、日程調整のために費やされる時間でビジネスのスピードはどんどん落ちていく。

ここまで書いて、まったく救いがないじゃないかと思うかもしれない。確かにその通り、現状のままでは、ステークホルダーの数が増えれば増えるほど、ビジネスのスピードは落ちる。少人数のベンチャー企業の動きが速くて、大企業の動きが遅いのはこういった理由からだ。大企業もベンチャー企業を見習って、少人数のチームでプロジェクトを組んでビジネスを遂行したりしているが、結局、経営陣が余計な口を出すはめになってしまい、うまくいかない場合が多い。うまくいっているように見えても、もともと社員が少ないベンチャー企業には意思決定のスピードはかなわない。

結局、何かプロジェクトに関する情報は1か所にまとめて配信し、それを関係者が必ず見るというオペレーションにしなければならないのかなと思う。昔はグループウエアの掲示板を使ったが、掲示板には、アクティブに見に行かなければ情報を得られないという欠点がある。現在は、掲示板よりもRSSなどを利用してあたかもプッシュ配信されるように情報を得る方式の方が便利だろう。

ちょっと分かりにくくなったと思うが、具体的なイメージはFriendFeedである。FriendFeedとはソーシャルメディアのアグリゲーションサービスである。自分が投稿したブログへのリンクやDelicious.comやはてなブックマークにブックマークした記事、お気に入りのYouTube動画、Twitterでのつぶやきなどなど、さまざまな情報を1つのストリームという形で配信できる(ちなみに私のFriendFeedストリームはここ)。流れてきた情報に対してコメントをつけることもできる。これのエンタープライズ版があれば、適切なタイミングで適切な情報を、関係者全員に対して同時に周知させることが可能になると思う。

問題は適切な情報を確実に伝えられるかであるが、ここは人の方の意識を変える必要があると思う。ストリームに流れたものは全員が見たとみなすか、ストリームの中でなんらかの意識統一がなされた場合、議論をひっくり返すような行為を認めないとか、なんらかのルールが必要になってくる。

たいていの議論は大方の賛成があれば進めて問題になることはない。国連だって多数決で決議している。まあ、国連は拒否権を持つ国があるので、すべてが多数決になるわけではないが、これもやり方次第だと思う。企業版FriendFeedに拒否権を持つことができるユーザーアカウントを設定するだけで、たとえば、誰が何と言おうと社長の了承がなければ先に進めないようにするという運用ルールにできる。

今回の投稿は長くなってしまったが、社内調整という仕事はこれまでなかなかIT化されなかった。これが、ソーシャルメディアの技術を活用することで、ある程度までIT化できるのではないかと思ったわけである。大きな組織であっても、意思決定のスピードを上げられるようになるのではないかと予想できる。そうしたら仕事をしている人は喜ぶよね。

余計な気を使わなくてもすむ世界が早く来てほしいものである。

では。今回はここまで。

posted by やすお at 03:02 | Comment(0) | TrackBack(1) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ソーシャルメディアを使ったゆるい情報共有は、社内情報システムとしても案外使えるのかもしれない
Excerpt: 前回の投稿「社内調整を効率よくするために少し考えてみた」で、ソーシャルメディア・アグリゲーション・サービスのFriendFeedのように、さまざまな人のネット上での振る舞いを1つにまとめて情報共有をす..
Weblog: ネット雑記 ~3年後のネットが見えるかも~
Tracked: 2009-02-19 01:33



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