7月1日に、米Microsoft社は、自然言語検索技術を持つ米Powerset社を買収した。マイクロソフトが持つLiveSearchの機能を拡張するのが目的だろう。TechCrunchの記事「Powersetの話題は一段落。マイクロソフトが買収しました。」で触れられているが、Powersetが持つ卓越した技術を披露するにも、運営資金の問題があってなかなか成長路線に乗れなかった。マイクロソフトが買収したことで資金の問題はなくなるはずだ。マイクロソフト傘下になったPowersetにより、自然言語検索技術において革新がみられるかもしれない。楽しみだ。
過去エントリ「第8回:検索でおもてなし−「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を読んで」で書いたように、検索技術の革新は次世代インターネットサービスには欠かせないもの。マイクロソフトが検索技術を買うのは当然の戦略である。PowersetはGoogleが買収する話もあったらしい。Googleは自然言語検索技術を自前で開発するのだろうか。
さて、マイクロソフトであるが、検索技術の会社を買収したのは今回のPowersetだけではない。エンタープライズサーチ(企業内検索)の分野では定評があるノルウェーのFast Search & Transfer社を2008年4月25日に完全子会社としている。みなさんも覚えているだろうが、4月25日というとMicrosoftがYahoo!を買収する話題に世界中が注目していたときだ。過去エントリ「Yahoo!を買わなかったMicrosoft、次の一手はすでに打っている」では、マイクロソフトが企業内検索分野を強化するのではと書いた。もちろん、その戦略はFastを買収した直接の効果だ。そして、今回のPowerset買収とからめると、もっと大きな話になるのではないかと思う。
レコメンドエンジンとしても強力なFastの検索技術と自然言語検索のPowersetの技術が組み合わせれば、何ができるだろうか。まず、企業内の検索(エンタープライズサーチ)で、より効率的に目的の文書やデータを検索することができるだろう。企業内で蓄積している知識を自然言語で検索できるようになる。これは、今のFastの技術にPowersetに技術を単純に追加したケースだ。具体的にはマイクロソフトの「SharePoint」の機能強化版として提供されるだろう。
マイクロソフトが狙うのはインターネット検索の方だろう。LiveSearchの機能強化だ。うまくいけばこちらの方が得る利益は大きい。Yahoo!を買収したがったのもインターネット検索技術と広告配信の部分であるし。正直なところLiveSearchはインターネットでの立場は弱い。それをマイクロソフトはどうにかしようと思っているのだろう。ただし、Yahoo!買収がどう転ぶのか分からない状態では、地道に検索機能を強化していくしかない。それがPowersetであり、Fastの検索機能なのだろう。足場は徐々に固まりつつある。
何でも一番になりたがるマイクロソフト。これまではビル・ゲイツの執念みたいなもので戦ってきた。ビル・ゲイツ引退後のマイクロソフトはどこまでやるのだろうか。グーグルを倒して、インターネット時代の覇者となることはできるのだろうか。Yahoo!なしでは難しいだろう。ただし、何らかのイノベーションが起こると一夜にして盟主が入れ替わる。それがインターネット業界の面白いところである。













